ゲームを活かした学び方

ゲームなら楽しそう?

ボードゲームの形をとった学習方法を提案すると、「ゲームなら楽しそうで、とっつきが良さそうですね」と言っていただきます。そうなんです。たしかにその通りで、ボードやスライドを前に座る風景よりも、ずっと楽しそうな雰囲気になるというのはゲームを使った学びや研修の大きな魅力です。しかも実際、楽しいですしね。

でも、それだけじゃないんです。私たちがボードゲームという形で学びを提供する理由において、もっとも重視しているのは講座や講義にないゲームならではの学び方があるという点です。

自ら考える機会を生みだす

ゲームを使った学びの最大のポイントは「プレイヤーは自分の意思で行動を選択し、その結果を受けとめなくてはならない」ということ。ゲームによって、自分で悩んで行動する体験は、学習内容をより深く心と記憶に刻み込むことができます。講師が板書して説明する座学と比べて、時間当たりで提供可能な情報量は減りますが、実際に「自ら考える」体験を生み出すことで座学にはない気づきや理解を促すことにつながります。


怒りと上手につきあう手法とは?

数々の経験やアンガーマネジメント技術を統合

本作「グッバイギャクタイクーン」の開発において中心となっているのは、少年時代に虐待を受けた経験を持つ「虐待サバイバーバンク」の代表・井内氏。自身が虐待を受けた経験、ほかの虐待サバイバーの体験の聞き取り、さらには自ら資格を取得したアンガーマネジメントの学び、会社の経営に携わった経験などを総合して、「怒り」という感情を大切にしながらも上手につきあっていくための知恵をゲームに盛り込みました。

怒りによって後悔することをなくすために

会社や組織のなかには、多様な立場や権力のちがいなどによって、複雑な人間環境が広がっています。私たちに怒りを感じさせる出来事は、解決困難で理不尽なものもあるし、冷静になれば解決していけるものもあります。ゲームを通じて、そうした状況整理を行いながらも、とっさの怒りの暴走を止める技術などを学びます。

「怒り」のすべてが悪いとは考えません。後から「しまった」と後悔するような怒り方を減らせるよう「火力のつまみ」を心の中に作りましょう

ゲームのおおまかな内容

語りかけによって「知識」を使ってみる

プレイヤーたちはゲーム内の主人公ではなく、その友人として物語に参加します。主人公は会社(昼)や家庭(夜)で日々、フラストレーションをためこんでしまいます。フラストレーションが家庭(夜)で爆発すると、我が子に危害をおよぼしてしまう「ギャクタイクーン」に変身。それは間違いなく、主人公自身の心も傷つけ、深い後悔を呼ぶものです。プレイヤーは、友人として主人公にアドバイスを重ね、過酷な環境で生きる主人公を導きます。

プレイヤーは、怒りのコントロールに役立つ知識が書かれた「コントロールカード」を参考にしながら、自分の体験や考えも交えて「そんなときはこうしてはどうか」と主人公に提案してください。ゲームを通じて自分の過去をふりかえり、知識と結びつけて「語る」ことによって、学びは具体的な体験に昇華します。

怒りのコントロールに成功し、冷静な目を取り戻すと、フラストレーションの原因となった職場の上司や同僚のふるまい、その背後にある事情が少しずつ見えてくるかもしれません……。


主人公の1日を1ラウンドとして繰り返す

ゲームは、主人公の1日を3つのターンにわけ1ラウンドとして進めます。1ゲームで何ラウンドとするかは、現在調整中です。3か4ラウンドかな、と思っています。


最初のターンは【昼】の会社でのできごと。ゲームの中心舞台です。

組織内の理不尽なできごとの数々に主人公はフラスレーションを蓄積させます。このとき、プレイヤーは友人として良いアドバイスに成功すれば、フラストレーションの蓄積を避け、さらに真実の物語に一歩近づく機会を得ます。

第2のターンは【夜】の家庭でのできごとです。山札から1枚を引き、そのまま適用します。

子どもやパートナーとのさまざまなできごとによって、フラストレーションが溜まる場合もあれば、解消される場合もあります。ただし、子どもはまだ2歳で、パートナーも共働きで疲弊しているため、家庭もしばしばフラストレーション増加の原因となってしまいます。


最後は【就寝】のターンです。1日かけて蓄積した眠りによって疲れを癒し、フラストレーションをいくらか回復させることができます。ただし、いくつかの条件によって、睡眠は阻害され回復量が減ってしまう場合があります。

フラストレーションが限界突破したとき

ゲーム中、主人公のフラストレーションが限度を超えてしまうと、さまざまな悪いことが起こってしまいます。特に夜の家庭の時間には、主人公がギャクタイクーンに変身し、「虐待」という悲劇を引き起こし、子どもの心に深い傷を残してしまうことになります。

昼の職場でフラストレーションが爆発した場合、ギャクタイクーンにはなりませんが、職場での人間関係にヒビが入ることによって「睡眠が不十分になる」など別の弊害によってゲームが不利になります。

(そのほか、制作中の情報がまとまり次第、随時更新していきます)